ドラックストアの薬剤師の経験からたどり着いた、「からだの声」の翻訳者としての道。タッキー先生こと滝村桂子さんの、オンリーワンのキャリアをご紹介します。

タッキー先生

滝村 桂子 通称「タッキー先生」
神戸女子薬科大学薬学部薬学科卒業。薬剤師、日本メンタルヘルス協会認定公認心理カウンセラー

今のお仕事を簡単に:
「からだ占い」考案者。こころとからだの繋がりをひも解き、からだを愛おしいと思っていただけるような講座・招致セミナー・講演活動をしています。

 

キャリアのスタートは薬剤師

薬剤師になろうと思った理由

理由は覚えていないんですが、小学校の時から人のからだや病気に興味がありました。

そして、たまたま母親から「薬剤師という仕事がある」と教えてもらったのが、インプットされたんです。お薬で人を助けるんだって知って、子どもながらすごなぁって思いました。
昭和40年代なので、当時感染症とかが流行って良い薬が出て治せるようになる前の頃じゃないでしょうか。

その印象を受けついで、そのまま素直に薬剤師になるための道を進みました。

そしていざ薬剤師になったものの、その薬剤師の資格・知識をどこで活かそうか、という選択になりました。

当時就職で、某大手の製薬会社を受けたんです。

製薬会社の面接官 の方に、「あなたは薬剤師になって何をしたいですか?」と聞かれて、 「一般の人は病気のことや薬のことが難しくてよくわからないので、医療の人が扱っている薬の名前とか使い方とかをわかりやすく説明できる人になりたい。」って答えました。

医療者と患者さんの橋渡しですね。
今でいうとセルフメディケーションという言葉がありますが、当時は「軽医療」という呼び方でした。

そうしたら、その製薬会社の面接担当者の方が「そうですか。それではうちではないですね」っておっしゃって、見事に落ちました(笑)

「そうか、製薬メーカーじゃ(私のやりたいことは)出来ないんだ」ってその時自覚しました。
でも結局、自分の行く場所がわからないまま、当時は化学薬品工業に勤めることになりました。

 

結婚して専業主婦になったあとにドラッグストアへ就職

そのままそこで勤めて、結婚して専業主婦になったんですが、ある時、ある地域のドラッグストアからお手紙が1通来たんです。

そこには、「今地域で薬剤師の人を探しています。もし今子育て中なのであれば、活躍できる時が来た、と思ったらご連絡ください。」っていう内容でした。
その手紙を、机の引き出しにとりあえずしまっておきました。

そして、しばらく経って『その時』が来たんです。

専業主婦を10年やっていて、一番下の子が3歳になったとき(タッキー先生にはお子さんが3人おられます)に、しばらく前にドラッグストアからいただいた手紙のことを思いだし、まだ有効かな?って思って引き出しから出してきて、連絡をしてみました。
そしたら、どうぞ面接に来てくださいっておっしゃっていただいて。

ドラックストアに勤めたかったわけではないんですが、たまたまその手紙が気になってたから連絡したんです。

そして面接に行きました。
人事の方が面接するのかと思ってたら社長さんが出てこられたんですが、聞かれたのは家族のことばっかりでした。
主人のこととか、子どものこととか。

社長 「子育て、楽しそうだね。」

タッキー先生 「はい、楽しいです!」

社長 「じゃあ、子育てがんばってね!」

タッキー先生 ( ゜Д゜)o0(・・・・落ちたな・・・・)

まず、落ちたと思ったんですが、「採用です」って来たんです(笑)

どういうことかな?って思ったら、そこのドラックストアの社是が「家族を大事する」だったんですね。

まず自分たち(身内)を大事にするところから、っていうのか理念の会社だったんです。
私がそこのドラックストアに採用された理由でした。
それまで製薬畑だった私は何もわからないまま、そのドラックストアで働くことになりました。

 

ただの薬剤師からの脱却

ドラックストア薬剤師の日々がスタート

ですが、製剤名はわかりますが、商品名はさっぱりわからないんですね。
お店に来ていただいた患者さんに、何の薬を出したらいいか、いちいち(パッケージ)の裏を見ないとわかりませんでした。

様々な患者さんへの対応を重ねるうちに、症状に対して単純に市販薬を販売するだけでなく、「もっと地に足の着いた身になる情報を渡さないといけないな」って感じるようになったんです。

そこから薬以外の雑学探しがスタートしました。

  •  患者から薬はどう見えているか、を知るために、一般向けに売られている薬がわかる本、を買ってみる
  •  その症状にはどこの病院が良い、って言えるように近所の病院を調べる
  •  救急のほうが良さそうだ、って思った時は救急車呼ぶ
  •  食養生する人には、野菜などの栄養素の情報を伝える。それに加えて、どこのスーパーで買えるよ、も教えてあげる。

だって知ってないと地域のおじさんおばさんには太刀打ちできないんですよ。
蕎麦屋とか果物屋とか、体にいいっていうけどどこのが美味しいの?に、ちゃんと打ち返せる引き出しを持ってないと会話が弾まない。

あと当時は『思いっきりテレビ』とか『あるある大事典』とかで取り上げたものも一気に流行ったので、そういったものも当然聞かれますからテレビも見ていないといけない。

忙しいけど、それが自分でやっていて楽しかったです。

 

「それがわかるのは君だけ」で自分のOTC薬剤師としての役割を自覚

薬学部が4年生から6年生に変わった時、2年間新卒が出ない時期がありましたが、その時やはり市場は薬剤師不足でした。
私が勤めていたドラックストアのチェーンでも同様で、調剤と併設のドラックストアでは完全に薬剤師さんが不足していました。

社長に、知り合いいないか?と聞かれるので、それだけ人手不足なら、私(調剤併設の店舗に)行きますよ!」って手を挙げたところ「君は来なくていい」って言われたんです。

「蕎麦屋とか果物屋とか君しかわからんから。」

薬がわかる薬剤師はたくさんいるけど、近所のお医者さんどこ?っていう質問に応えられる薬剤師はそうそういない。って言われて、OTCが私の生きていく場所なんだって実感しました。

 

普通の対応では患者さんから情報が引き出せない

普通に症状に対して薬を出している薬剤師としての対応だけだと、「何食べたらいいか」といった会話にまずなりません。

私は患者さんと接しているうちに、「同じ症状の人には同じ口癖があるな」と感じていたのですが、同じチェーン店の他の薬剤師さんに言っても同意を得られませんでした。

なんでかな?って思ったら、他の薬剤師さんはそもそも(患者さんと)喋ってないんです。

患者さんが症状を話したときに、「いつからですか?」とはみんな聞くんですが、私は「その時どんなことしてたんですか?」も聞きます。

ある時フケとりシャンプーを買いに来た人が、立て続けに「最近夜勤になって」っていう人でした。

そこで、それからフケとりシャンプー買いに来た人に「最近勤務体系変わったでしょ?」って聞くと、「なんでわかったの?!」って反応でした。

「原因はわからないけど、昼夜の生活リズムが変わると皮膚トラブル起きる人がいるみたいですよ。」って話をすると、患者さんはその話に引き込まれてくれる。

そして、実は・・・って皮膚だけじゃなくて他の症状の話もしてくる。

何か一つ、信用してもらえると、相談してくれるようになる。

もちろん、わからないことも出てくるから、その時には正直に「わからないから調べておきますね。」って伝えて、後で調べて、ちゃんと調べたことについて教えてあげる。

そうやって患者さんとの関係が出来ていきました。

 

街の最前線の薬剤師でいられることは誇りだった

 

ドラックストアは病院よりも相談しやすい場所

最初のうちはもっと薬だけに向き合ってるのに近い形でした。

最初の3年間はそういう風にやっていたんですが、そのぐらいから急に忙しい店に回されたんです。

その忙しい店になってから、ややこしいお客さんが増えたんです。
薬じゃないことも効いてくるお客さんがいっぱいできた。

患者さんからすると、薬が欲しいわけじゃなく、「この症状をなんとかしたい」なんですよね。

ドラックストアはドアがない・保険証もいらない・名乗らなくていい、だから聞きやすいんですよ。

病院に行くと、こんな些細なこと聞きに行くの申し訳ないな、と思ってしまうし、なんてことのない回答をもらうために2時間待つかもしれない。

だからとりあえず近所のあの薬にも詳しい人に聞いてみよう、ってなるわけです。

私だって医療者なのに、「実は今お医者さんからもらってる薬、効きすぎるから飲んでない」とか私には行ってくれるんです。

先生(医師)に言ったら怒られると思って言ってないんですって。

正しい治療ができないし、薬足されることもあるから、ちゃんと言わなきゃだめだよ、って伝えました。

言うのがダメなら、その状態をお薬手帳に書いて、それを見せたらいいよ、って。

 

医師との接し方もアドバイスするように

私の母は整形外科の先生なんですが、患者さんと交換ノートをしていたんです。

お年寄りなんかは、症状を伝えるにもどうしても話が長くなってしまう。
だから話して聞くよりはノートのほうが的確に把握できるんです。

お薬手帳って飲み合わせのチェックのためだけ、って思っている人が多いと思いますが、その代りをできるんじゃないか、って考えてます。

先生(医師)も人だよ、っていうのはよく患者さんに伝えていました。

先生(医師)と仲良くしたかったら、先生(医師)に良い人だなって思われる患者さんになってね、って。

そのためのお薬手帳の使い方を教えたりしました。

ある時は問診の練習も。

 

タッキー先生 「こう聞かれたらなんて言おうと思ってる?」

患者さん 「~~~~~かくかくしかじか~~~~~~」

タッキー先生 「長いよ(笑)」

 

それで、実際病院行ったときの先生の反応を報告してくれるんです。

自分の身体のことなんだから、自分が主導権持って、賢い患者にならないといけない。

お医者さんは患者さん選べないけど、患者は医者を選べるから。

そう考えると、相談できる人とか選び方を教えてくれる人がいないとだめですよね。

わからない人(患者)同士で相談するよりも、ここ(ドラッグストア)に来て私に聞いてくれたら、私の周りも医療者ばかりだから、わかることがいっぱいある。
だから相談しに来てね、って患者さんに言ってました。

自分で調べるのもいいけど、プロに調べてもらった方がわかることが多いと思うよ、って。

そうしてドラックストアに来てくれる人が増えるので、薬以外のものも扱ってるドラックストアだから、店全体の売上はその地域の一番でした。
「商業界」という雑誌に載せていただいたほどです。

調剤薬局の薬剤師は、調剤の最前線。
製薬会社の薬剤師は、創薬の最前線。

街のお客さんの最前線の薬剤師、でいられることは私の誇りでした。

 

従業員仲間にも伝達

同じドラッグストアの他の薬剤師にも、簡単な風邪薬や目薬の選び方、みたいなものはお店のオープン前に教えたりしていました。

一般の従業員にも、自分が売った商品に対する結果が、患者さんが次に来店したときの顔色になる。

売るだけじゃなくて、次に来たときの顔もちゃんと見ておいたほうが良い、っていうのも教えるようにしたりもしました。

「どうされましたか?」って自分から声かけて、薬買いに来たな、って逃げるんじゃなくて、薬剤師読んできますね、って対応すればいい、って。

 

そうしたら、中卒で薬剤師になるにはどうしたら良いですか?って聞いてくれた子もいました。

大学でないとなれないんだ、って教えたら残念そうにしていましたけど、すごく頑張って勉強してましたよ。

 

やらされる勉強じゃなくて、自分が誰かの役に立ってるんだとか、これを伝えるだけで元気になる人がいるんだ、って思うだけで勉強意欲わくんだなって実感しました。

化粧品に詳しい子、とかオーラル商品に詳しい人、とか同じ店にそういう人が出てくるの、すごく楽しかったです。

従業員全体が、街の役に立っているって実感があったと思います。
だから地域一番店のドラッグストア(売上)になれた。

20店舗ぐらいしかないドラッグストアだったので、大手と比べると価格競争では負けてましたけど、従業員全員が付加価値を付けられたから、お客さんが来てくれたんだと思います。

 

ドラッグストア勤務以降を経てたどり着いた天職

もっと多くの患者さんに健康のことを伝えたい

ドラッグストアで情報を色々みなさんにお伝えしている間に、OTCでよく無料配布されている「ことぶき」っていう雑誌に原稿を書いていました。

その仕事が自分の中で慣れてきて、職場(ドラッグストア)でも自分じゃない人が自分と同じような話を出来るようになってきたら、この人数にしか伝えられないのがもったいない、と思い始めたんです。

そう思っていたら、ある介護事業をやっている会社から、健康増進の部署を作るからやってくれませんかってオファーをいただきました。

やってみたい事ではあったけど、実は怖かったので1年間断り続けました。

3回目ぐらいにお誘いいただいた時に、「私には薬をお出しして、販売することしかできません」とお伝えしたら、当時の社長が一言「やってみないとわからないでしょ」っておっしゃったんです。

確かに、やってみないとわからないと思って今までやってきたんだった、って立ち返って、お受けすることにしました。

健康増進部署を作る背景として、自分たちの事業だけでは賄えない人が要介護になっていく時代になっていくから、要介護になって行く人を少しでも止めたい、という社長の想いがありました。

そこでの仕事は、大きく3つほどありました。

  1. 啓蒙という意味で行政関係(保険所、地域センターなど)や、介護士教室(教育)、ケアマネさんのメンタルヘルス、地域の健康イベント、などで講演
  2. 測定機器(体組成機、ストレスチェッカーなど)をそろえて、目に見える数値での生活習慣改善指導。
    太ってるけどご飯減らしたら、タンパク質も減るから、筋力も下がるよって数値で教えてあげる。
  3. オーガニックサプリメントのオーダーメード処方。
    当時の日本のビタミン系サプリメントは、私の目線から見て、配合成分が自信をもってオススメできるものが少なかったんです。だから、そこの会社でその人に合ったサプリメントをイージーオーダーの形にはなりますが、処方していました。

「予防」ってなんだろう?

そうやって「予防」に関することをずっとやっていたら、今度は「予防」ってなんだろう?と思い始めたんです。

私が一つ思ったのは「予防」っていうのは「恐れ」から来るんじゃないかって考えました。「怖い」からだよね、って。

「健康になりたいからダイエットします」

「健康になりたいから走ります(運動します)」

「健康になりたいから良い食材をとります」

健康になりたいから・・・健康になりたいから・・・

って考えていくと、「じゃあみんな健康じゃないんだね」って思い始めて。

今健康なんでサプリメントとりたいんです、っていう人はあまりいないでしょう。もちろん維持したい、っていう人も中にはいます。
でもその人は過剰に維持してます。

健康維持したい、っていう人は他のことでもみんな過剰にやってる人です。

その両極端しかいないんです。

そこで私は「予防」っていうことさえもクエスチョンマークがつてくるようになりました。

 

今何かしたいと思った時に、それを出来る自分でありましょう、っていうのは前向きでいいですよね。

そういう予防は大歓迎。

でも、「これ以上老化したら嫌だから老化を止めるサプリメントありませんか」とかは違う。
人間は生まれた時から老いていくものだし、老いの中に学ぶこともある。

「予防=悪いものをなくす」っていう概念をやめたいな、って思いました。

 

そういったことを考えてたら、『思い癖』と発病に関係があるじゃないか、って思い始めたことがきっかけで、「からだ占い」へと発展していったんです。

自分の『思い癖』を知って、それだからダメっていうのではなく、その癖さえも認めることが「健康」の第一歩なんじゃないかと考えています。

 

>> タッキー先生がたどり着いた「からだ占い」とは?